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社長のため週イチ経営メモ/補助金は、何のために使うものなのか

居酒屋さんが新たにランチ営業を始める場合で考えてみる

第20回の小規模事業者持続化補助金の公募要領が公開されました。

「小規模事業者持続化補助金」とは

小規模事業者持続化補助金は、
その名のとおり、小規模事業者向けの補助金です。

比較的使いやすい補助金として知られていて、
コロナ禍以降、事業者の方にも認知度が上がった制度のひとつではないでしょうか。

神奈川県内でも、飲食店、美容室、小売店、専門サービスなど、
地域に根ざして事業を続けている小規模事業者の方にとって、
こうした補助金は事業を見直すきっかけになります。



補助金と聞くと、どうしても、
「ホームページ制作に使えますか?」
「チラシ代は対象になりますか?」
「設備は買えますか?」
「いくら補助されますか?」
という話になりがちです。
もちろん、それも確認は必要です。
使える制度があるなら、上手に活用する。
それ自体は、悪いことではありません。
ただ、ここで一度、そっと見直してみたいのです。
それは本当に、
売上を上げるために必要な投資でしょうか。
それとも、
「お金がもらえるなら補助金を使いたい」
が先に来ていないでしょうか。
ここです。



詳細はこちら▶「小規模事業者持続化補助金」公式サイト

補助金は、目的ではなく手段です

補助金は、何かを買うためのものではありません。

本来は、事業者がこれからも事業を続け、
売上を作っていくための取組を後押しするものです。

特に小規模事業者持続化補助金は、
経営計画に基づいて行う販路開拓等の取組や、
それにあわせて行う業務効率化の取組を支援する制度です。

つまり、最初に見る場所は、
「何が補助対象になるか」ではないと思うのです。

まず考えるのは、
新たに、どうやって売上を作るのか。

誰に届けるのか。

どの販路を広げるのか。

ここではないでしょうか。

その計画の中で、必要な投資がある。
そして、その投資が補助金の要件に合う。

そのときに、補助金の活用を検討する。
この順番が大切です。

補助金を取るために事業を考えるのではなく、
事業を前に進めるために、使える制度があれば活用する。

見る場所を少し変えるだけで、
補助金との向き合い方も変わってくるかもしれません。

例えば、居酒屋さんが新たにランチ営業を始める場合

今回は、ひとつ例として、
夜営業中心の居酒屋さんが、新たにランチ営業を始めたい
というケースで考えてみます。

この相談を聞いたときに、いきなり、

「ランチ用の看板を作りましょう」
「チラシを配りましょう」
「厨房機器を買いましょう」

という話から入るのは、少し早いかもしれません。

もちろん、看板もチラシも設備も、必要になることはあります。

でも、それは後の話です。

まず汲み取りたいのは、
なぜ、ランチ営業を始めたいのか。

ここです。
夜の売上だけに頼ることに、小さな不安があるのかもしれません。
昼の時間帯を、もう少し活かせるのではないかという想いがあるのかもしれません。
近くで働く人や地域の人に、もっとお店を知ってもらいたいのかもしれません。

ランチを始めたい想いと、
失敗したらどうしようという不安が、

いつも胸の中で同居している。
そういうことも、あると思うのです。

だからこそ、いきなり申請書や経費の話に入る前に、
その想いと不安を一度、事業計画として整えてみる必要があります。

その声になっていない部分を見ないまま、
「では何を買いましょうか」
に進んでしまうと、
せっかくの事業展開が、補助金のための買い物になってしまうことがあります。

それは、少しもったいないと思うのです。

ランチ営業は、単なる営業時間の追加ではない

居酒屋さんがランチ営業を始めるということは、
単に「昼も店を開ける」という話ではありません。

経営的に見ると、
夜営業中心だったお店が、昼の時間帯に新たな売上の柱を作る
ということです。

さらに言えば、
夜のお客様とは違う顧客層に、お店を知ってもらうきっかけを作る
ということでもあります。

たとえば、昼の顧客としては、
• 近隣の会社員
• 近くのお店や施設で働く人
• 地域住民
• 主婦層
• 高齢者
• テイクアウトを利用したい人
• 近隣事業所の弁当需要
などが考えられます。

こうして見ると、ランチ営業は、単なる営業時間の追加ではありません。

新しい顧客層に届けるための販路開拓
として整理できるのです。

ここまで見えてくると、補助金の話も少し変わってきます。
「何を買うか」ではなく、
「誰に届けるために、何を整えるか」
という話になってきます。

「誰に売るか」で、やることは変わる

同じランチ営業でも、誰に届けたいかによって、やるべきことは変わります。

たとえば、近隣の会社員を想定するなら、
提供スピード、価格、満足感、入りやすさが大切になるかもしれません。
昼休みの時間は限られています。

料理がおいしいだけではなく、短い時間で安心して食べられることも必要になります。

一方で、地域住民や主婦層を想定するなら、
落ち着いて食べられる雰囲気や、健康感、少しゆっくりできる空間が大切になるかもしれません。

法人向け弁当を考えるなら、
店内飲食とは別に、注文方法、受け渡し、配達、まとめ注文への対応も考える必要があります。

つまり、同じ「ランチ営業」でも、
誰に届けるのか
によって、メニューも価格も、伝え方も変わります。

ここが曖昧なままだと、行動が止まることがあります。

看板を作るべきか。
チラシを配るべきか。
SNSで発信すべきか。
テイクアウトをやるべきか。

選択肢はあるのに、何から手をつければいいかわからない。

それは、やる気がないからではありません。
考えていないからでもありません。
むしろ、考えているからこそ、止まってしまうことがあります。

やりたい想いがある。
でも、不安もある。

その間に、いくつもの小さな違和感が挟まっている。
だから、行動が止まる。

そんなこともあると思うのです。
見る場所が、少し手前で止まっているだけかもしれません。

「何を売るか」も、そっと整える

次に考えたいのは、
その居酒屋さんだから出せるランチは何か
です。

ランチを始めるからといって、無理に普通の定食屋さんになる必要はありません。

むしろ、居酒屋さんには居酒屋さんの強みがあります。

夜の人気メニューを昼向けにアレンジできるかもしれません。
仕込みを活かした煮込み定食が作れるかもしれません。
焼き魚、唐揚げ、丼もの、日替わり定食など、
ご飯に合うメニューを組み立てられるかもしれません。

ここで大切なのは、
夜営業とまったく別物にするのか。
夜営業につながる入口にするのか。

たとえば、ランチで初めて来たお客様に、
「夜も来てみたい」
と思ってもらえれば、ランチ営業は夜営業への入口にもなります。

ランチ単体の売上だけでなく、
お店全体の売上につなげる視点です。

小さな違和感として、
「ランチを始めたいけれど、何を出せばいいかわからない」
という状態があるなら、そこにはまだ整理できる余地があります。

商品がないのではなく、
想いと強みが、まだランチメニューとして形になっていないだけかもしれません。

言葉になっていない強みは、
お客様にも届きにくいものです。

だからこそ、まずはそっと整える。

自分たちが何を大切にしてきたのか。
どんなお客様に喜ばれてきたのか。
新たに届けたい人に、何を渡せるのか。

そこを見直すことで、
メニューも、伝え方も、少しずつ見えてくるのではないでしょうか。

売上の作り方を分けて考えてみる

ランチ営業といっても、売上の作り方はいくつかあります。

店内ランチで、昼の空いている時間帯を活用する方法。
テイクアウトで、席数に左右されず近隣の会社員や地域住民に届ける方法。
法人向け弁当で、近隣事業所や団体からまとまった注文を受ける方法。

そして、ランチをきっかけにお店を知ってもらい、
夜の宴会や飲み会、家族利用につなげる方法。

このように分けて考えると、
ランチ営業は単に「昼も営業する」という話ではなくなります。

どの売上を作るためのランチなのか。
ここが見えてきます。

ここが見えると、必要な準備も変わります。

店内ランチを育てるなら、店頭で迷わせない工夫が必要かもしれません。
テイクアウトを育てるなら、持ち帰りメニューや注文導線を整える必要があるかもしれません。
法人弁当を育てるなら、近隣事業所への案内や注文方法をわかりやすくする必要があるかもしれません。
夜営業につなげたいなら、ランチのお客様に夜の魅力をどう伝えるかを考える必要があります。

どれも、いきなり大きなことをする話ではありません。

ただ、流れを整える。
迷わせないようにする。
お客様が次に進みやすいようにアテンドする。

そういう小さな設計の積み重ねです。

事業計画というと、少し堅く感じるかもしれません。

でも、本来は、
自分の想いを、お客様に届く流れに変えていく作業なのだと思います。

ここまで考えてから、必要な投資を考える

ここまで整理して、初めて
「では、何が必要か」
を考えます。

近隣会社員に知ってもらうために、
店頭看板やチラシが必要かもしれません。

GoogleマップやSNSで、
ランチ営業を見つけてもらえるように情報を整える必要があるかもしれません。

テイクアウトを始めるなら、
メニュー表や注文導線、持ち帰り用の案内が必要かもしれません。

法人弁当を狙うなら、
近隣事業所向けの案内資料や注文方法の整備が必要かもしれません。

新しいランチメニューを作るなら、
試作や写真撮影、メニュー表の作成が必要になるかもしれません。

このように、
誰に売るか。
何を売るか。
どう知ってもらうか。
どの売上につなげるか。

そこを整えたうえで、必要な投資を考える。

補助金の話は、その後です。

ここを逆にしてしまうと、
「補助金で買えるもの」から事業を組み立ててしまいます。

すると、買ったものはあるのに、売上につながる流れができていない。
そういうことが起こるかもしれません。

補助金が悪いわけではありません。

ただ、補助金が先に来ると、
事業者さん自身の想いが、
少し後ろに下がってしまうことがあります。

本当は、そこが一番大事なのに。

補助金が使えなくても、考える意味はある

ここは、少し大切にしたいところです。

検討した結果、補助金の対象にならない経費が出ることもあります。
要件に合わず、今回は補助金を使わない判断になることもあります。

でも、それでいいと思っています。
なぜなら、新たな売上を作るための計画を考えること自体に意味があるからです。

補助金を取るために無理やり計画を作るのではなく、
売上を作るために計画を整える。
その中で、使える制度があるなら活用する。

補助金は目的ではありません。
あくまで、事業を前に進めるための手段です。

この順番を間違えないことが、
結果的に事業者さん自身を迷わせないことにもつながると思うのです。

お金が出るかどうかだけで判断すると、
見えなくなってしまうものがあります。

本当はやりたかったこと。

少し不安で止まっていたこと。

まだ言葉にできていなかった事業の可能性。

そういうものが、補助金の話の裏側に隠れていることもあります。

そこを汲み取って、整える。
それが、補助金を考える前に必要な時間なのかもしれません。

第20回は、事業展開を考えるきっかけにしやすい

今回の第20回公募は、
申請受付締切が2026年12月15日、
事業支援計画書の発行受付締切が2026年12月4日とされています。

また、補助事業の実施期限は2028年3月31日までです。

つまり、今回の補助金は、
「今すぐ何かを買うため」
というより、

新たな事業展開を考えるきっかけ
として見る方が自然です。

詳細な要件、対象経費、申請方法については、
公募要領を確認する必要があります。

ただ、最初から細かい要件だけを見てしまうと、
どうしても
「何が買えるか」
という話に寄ってしまいます。

まずは、自分の事業で、どんな売上を新たに作るのか。

ここを一度、見直してみてもいいのではないでしょうか。

補助金の申請期限があるから考える。
それでも良いと思います。

きっかけは、何でも良いのです。
ただ、そのきっかけを、
単なる申請作業で終わらせず、
自分の事業をそっと見直す時間に変えられたら。
それだけで、補助金との向き合い方は少し変わると思うのです。

まずは、新たな売上の作り方を整理してみませんか

第20回の小規模事業者持続化補助金を検討するなら、

最初に考えることは、
「何が補助対象になるか」
だけではないと思います。

まずは、
新たに、どうやって売上を作るのか。

誰に届けるのか。
どの販路を広げるのか。

そのために、何を整える必要があるのか。

ここです。
居酒屋さんがランチ営業を始める場合も同じです。
ランチを始めること自体が目的ではありません。
そのランチ営業によって、どんな新しいお客様に届き、どんな売上を作るのか。

そこまで考えて、初めて事業計画になります。

まだ、きれいに言葉になっていなくても大丈夫です。
「新たに何か始めたい」
「今の売上の作り方を少し変えたい」
「補助金も使えるなら検討したい」
そのくらいの段階でも、整理できることはあります。

ランチを始めたい想い。
失敗したらどうしようという不安。

でも、このまま何もしないのも違う気がするという小さな違和感。

そういうものが混ざったままでも、いいと思うのです。

むしろ、そこから始まる事業計画もあります。
声になっていない想いを汲み取って、
事業として育てるために、何を整えるか。

補助金を取りに行くのではなく、
事業展開を作りに行く。

小規模事業者持続化補助金は、
そのためのきっかけとして活用するのが良いと思います。

売るためではなく、迷わせないために。
押すためではなく、安心して進んでもらうために。
その小さな想いを、丁寧につなげていく。
まずはそこから、一緒に考えてみませんか。