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社長のための週イチ経営メモ/「キャリアアップしたいので、やめます」は本当なのか。

優秀な人財から辞めていく店が、そっと見直したいこと

「もっと成長できる環境に行きたいです」

「新しい仕事に挑戦したいと思っています」

「将来のことを考えて、転職することにしました」


スタッフからそう言われたとき、社長としては引き止めにくいのではないでしょうか。


本人の将来を邪魔したくはない。
前向きな決断なら、応援してあげたい。


寂しさはあっても、

「分かった。次の職場でも頑張ってね」

と送り出す。

そんな経験をしたことがある社長も、少なくないと思います。

でも、心のどこかでこう思っていませんか。

どうして、いつも辞めていくのは、仕事を覚えた人なのだろう。

お客様から信頼されるようになった人。
これから店を任せたいと思っていた人。
ようやく育ってきたと感じていた人。


なぜか、そういう人から辞めていく。

採用にも時間を使っている。
スタッフのことも考えている。
忙しい中で、できる限り声も掛けている。


それでも、なぜか人がなかなか定着しない。

むしろ、以前よりも辞めていくまでのサイクルが早くなっている気さえする。

だからといって、社長の努力が足りないわけではありません。

もしかすると、本当に取り組むべき課題が、ほかにあるのかもしれませんね。


今回は、スタッフが退職するときに口にする言葉と、
その奥にある本音について、一緒に考えてみたいと思います。

第1章 社長が引き止めにくい退職理由

「キャリアアップ」は、前向きな言葉に聞こえる

退職を切り出すとき、社長が最も引き止めにくい言葉。

それが、
「キャリアアップのために辞めたい」
なのかもしれません。

「もっと成長したい」
「違う環境で経験を積みたい」
「将来のために、新しいことに挑戦したい」

そう言われると、社長としては否定しにくいものです。

引き止めれば、本人の成長を邪魔しているように感じる。

さらに理由を聞けば、前向きな決断に水を差してしまうようにも感じます。

だから、
「本人の人生だから仕方がない」
「次の環境でも頑張ってほしい」
と送り出す。

もちろん、本当にキャリアアップを目指して辞める人もいます。

その想いまで疑う必要はありません。

ただ、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。
「〇〇だから辞めます」は、本音だと思いますか
退職を申し出たスタッフが口にした理由。

それは、本当に、その人が辞めようと思った一番の理由なのでしょうか。

転職情報サイト「リクナビNEXT」のアンケート調査によると、
退職理由の建前として最も多かったのは、

「キャリアアップしたかった」38%
でした。

ところが、本音の第1位は、
「上司の仕事の仕方が気に入らない」23%
だったのです。

そのほかにも、本音の上位には、
「上司や同僚とうまくいかない」
「労働時間や環境に不満がある」
「給与が低い」
「仕事内容が面白くない」
「社長がワンマンだった」
「社内の雰囲気が合わなかった」
といった理由が並んでいます。

建前では、キャリアアップ。

でも本音では、
「店長との関係がしんどかった」
「頑張っても認めてもらえなかった」
「この店で働き続ける未来が見えなかった」

そんな、声になっていない想いが残っていたのかもしれません。

「キャリアアップと言っていたから、うちの店に問題があったわけではない」
と安心していては、知らず知らずのうちに、次もまた同じことを繰り返してしまうかもしれません。

もしかしたら、すでに繰り返していませんか。
採用して、教えて、ようやく育ってきた頃に辞めてしまう。

そしてまた求人を出し、新しい人を採用し、一から教える。

その流れが続いているとしたら、見るべきなのは、
退職するときに口にした言葉だけではないのかもしれません。

第2章 なぜ、スタッフは本音を言わないのでしょうか

本音を言えば、関係が悪くなるかもしれない

スタッフが本音を言わないのは、社長をだましたいからではありません。

むしろ、最後まで関係を悪くしたくないのだと思います。
「店長の言い方がきつかったです」
「質問すると、いつも嫌な顔をされました」
「頑張っても、評価されている感じがしませんでした」
「この先、どんな仕事を任せてもらえるのか分かりませんでした」

こうしたことを、退職するときに正直に伝えるのは勇気が要ります。

特に飲食店やサロンは、社長、店長、スタッフの距離が近い職場です。

毎日顔を合わせてきた。
忙しい時間を一緒に乗り越えてきた。
仕事を教えてもらった恩もある。

だからこそ、本音は言いにくい。
退職を伝えてから、実際に辞めるまで働き続けることもあります。

その期間を気まずくしたくない。
責められたくない。
お互いに嫌な想いをしたくない。

そう考えれば、
「キャリアアップのために」
と伝える方が、穏やかに辞められます。

社長を責めることなく、店への不満も口にせずに済む。
スタッフにとっても、引き止められにくい言葉なのかもしれません。

問題がないように見える日常

社長から見れば、特に問題なく働いているように見える。

遅刻もない。
接客もしっかりしている。
店長とも普通に話している。

一見すると、何も問題がないように見える日常かもしれませんね。

だからこそ、退職を告げられたときに、
「そんなふうに考えていたなんて、全く気づかなかった」
となる。

けれど、スタッフの中では、退職は突然ではなかったのかもしれません。

最初は、少し気になった程度だった。
忙しいときに、強い口調で言われた。
質問したら、面倒そうな顔をされた。
自分なりに頑張ったが、何も言ってもらえなかった。
同じ仕事を続けているが、次の目標が見えない。

一つひとつは、小さな違和感です。
それだけで、すぐに辞めようとは思わなかったかもしれません。

けれど、その違和感を伝えられず、汲み取ってもらえないまま時間が過ぎる。

すると、
「言っても仕方がない」
「ここでは変わらないのかもしれない」
「別の店を探した方が早い」
と、少しずつ想いが離れていきます。

本当に気をつけたいのは、不満を言われることではありません。
スタッフが、不満を言うことを諦めている状態ではないですか。

自分のお店は、そんな状態にはなっていないと、自信をもって言えますか。

第3章 離職の奥にある、四つの本音

離職の主な原因として、次の四つを考えてみたことありますか。

上司との関係が良くない。

仕事を楽しめない。

この店で働き続ける未来が見えない。

給与や労働環境に不満がある。

どれも、特別な出来事ではありません。
毎日の何気ないやり取りや、仕事の任せ方、
伝え方の中で、少しずつ生まれるものです。

一つひとつは小さな違和感でも、
汲み取られないまま積み重なると、

「ここで働き続けるのは難しいかもしれない」
という想いにつながってしまうことがあります。

1.上司との関係が良くない

社長や店長が、スタッフを大切に考えていないとは限りません。

むしろ、育ってほしいから厳しく言っていることもあります。

お客様に迷惑をかけてほしくない。
早く一人前になってほしい。
もっとできるはずだと思っている。

そこには、期待や想いがあります。

ただ、その期待がうまく伝わらず、
スタッフには厳しさだけが残ってしまってはいませんか。

忙しいときに質問されると、つい表情や言葉に出てしまう。
「今、それを聞くの?」
「前にも説明したよね」
「まずは自分で考えてみて」

そんなつもりはなくても、スタッフに、
「質問したらダメなのかもしれない」
と思わせてしまっていませんか。

「分からない」と言ったら怒られる。

「もう一度教えてほしい」と言ったら、
面倒な人だと思われる。

そう思わせてしまうと、
スタッフは質問しなくなります。

質問しないから、分からないまま仕事をする。

失敗が増える。
自信をなくす。
さらに聞けなくなる。

質問しないスタッフなのではなく、
質問できない状態にしてしまってはいないでしょうか。

こうして、少しずつ何かがズレ始めて行ってしまうことありませんか。

2.仕事を楽しめない

「仕事を楽しめない」と聞くと、
本人のやる気の問題に見えるかもしれません。

でも、少し見る場所を変えてみると、
仕事そのものが嫌なのではなく、楽しめる状態が整っていないだけなのかもしれません。

同じ作業ばかりが続いている。
何を目指しているのか分からない。
新しい仕事を任せてもらえない。
頑張っても、反応がない。
ミスをしたときだけ声を掛けられる。
自分の仕事が、お客様やお店にどう役立っているのか分からない。

そんな状態が続けば、
最初は想いを持って始めた仕事でも、少しずつ楽しめなくなってしまいます。

飲食店であれば、仕込みや片づけばかりで、接客や調理を任せてもらえない。
サロンであれば、補助業務が続き、いつ技術者としてお客様を担当できるのか分からない。

もちろん、基礎を積み重ねる時間は必要です。

ただ、その仕事が将来のどこにつながっているのかが見えなければ、
スタッフは迷います。

「今は、この仕事を覚える時期」
「ここができるようになったら、次はこの仕事を任せたい」
「このオペレーションは、最終的にお客様の笑顔につながっている」

そうイメージできるだけで、同じ仕事の見え方が変わることがあります。

ただ言われた作業をこなしているのではない。
自分の仕事が、お客様の安心や満足につながっている。

その流れが見えると、単調に感じていた仕事にも、少し意味が生まれます。

社長の中ではつながっていても、
スタッフには、そのつながりが見えていないことがあります。

だからこそ、やり方だけではなく、なぜこの仕事をするのかまでアテンドする。
それだけで、仕事を楽しめる余地が生まれるのかもしれませんね。

3.この店で働き続ける未来が見えない

人は、今だけを見て働いていると思いますか。

この店にいれば、どんな技術が身につくのか。
一年後、三年後に、どんな仕事を任されるのか。
給与や役割は、どう変わっていくのか。
自分の想いを生かせる場所があるのか。

社長や店長の姿を見たときに、
「自分も、こんなふうになりたい」
と思えるのか。

それとも、
「数年後、自分もずっと余裕なく働いているのだろうか」
と感じてしまうのか。

優秀な人財ほど、現在の仕事だけでなく、その先を見ています。

社長の中には、今後の構想がある。
スタッフを育てたいという想いもある。
「いつか二店舗目を出したい」
「技術を身につけた人には、責任者を任せたい」
「長く働いてくれる人の待遇を整えていきたい」

そう考えているのかもしれません。

けれど、それを言葉にして伝えていなければ、スタッフからは、
「この店にいても、その先はないのかもしれない」
「何も考えてくれていないのかもしれない」
と受け取られても仕方のないことだと思いませんか。

社長の想いは、胸の中にあるだけでは伝わりません。
言わなければ、無いものとして受け取られてしまっても仕方のない事かもしれません。

4.給与や労働環境に不満がある

給与、勤務時間、休日、シフト。

ここは、経営者にとって簡単ではないところです。

人件費を上げたいと思っても、店の利益を考えれば限界がある。
休日を増やしたくても、人手が足りない。
予約や来客の状況によっては、どうしても残業が発生する。

社長も分かっている。
けれど、すぐには変えられない。

だからといって、スタッフが感じている不満を、
そのままにしてしまっていいのでしょうか。

すべての希望をかなえることはできなくても、
「何に負担を感じているのか」
「どこまでなら続けられるのか」
「本人は、どんな働き方を望んでいるのか」
を知ることはできます。

早く帰り、生活とのバランスを大切にしたい人もいます。

一方で、早く技術を身につけるために、
より多くの仕事を経験したい人もいます。

置かれている状況も、働く目的も、それぞれ違います。

それでも、全員に同じ働き方を当てはめることが、
本当に平等なのでしょうか。

「全員を平等に扱う」ことではなく、
「全員に公平に向き合う」ことができていますか。

同じ条件を与えることではありません。
その人が何を求め、どこで負担を感じているのかを汲み取る。

そこに向き合わなければ、
誰かの想いが、静かにこぼれてしまうことがあります。

第4章 なぜ、優秀な人財から辞めていくのでしょうか

優秀であるがゆえに、仕事が集中していませんか

仕事ができる人が辞めると、
「もっと条件の良い店に行きたかったのだろう」
「成長意欲が高いから、仕方がない」
と思うことがあります。

それも、一つの理由かもしれません。

ただ、優秀な人財ほど、
店の中にある小さな違和感に早く気づいている可能性もあります。

評価の基準が曖昧である。
頑張っている人と、そうでない人の扱いが同じに見える。
仕事を任される一方で、権限は与えられない。
技術を身につけても、次に何を目指せばいいのか分からない。

そして、優秀であるがゆえに、
ついついその人に仕事が集中してしまう現実はありませんか。

「あの人なら任せられる」
「説明しなくても分かってくれる」
「忙しいときは、あの人にお願いすれば何とかなる」

社長や店長にとっては、信頼しているからこその判断だと思います。

けれど、本人から見るとどうでしょうか。
仕事は増えていく。
周りのフォローも任される。
難しい対応も、自分に集まってくる。

それなのに、評価や役割は変わらない。
何を期待されているのかも、はっきりとは伝えられていない。

そんな状態が続けば、
「自分だけ負担が増えている」
「頼られているのではなく、便利に使われているだけかもしれない」
「この先も、ずっと同じ状態が続くのではないか」

そう思わせてしまっても、仕方のないことではないでしょうか。

優秀な人財が求めているのは、特別扱いとは限りません。
自分の仕事が、どう見られているのか。
何を期待されているのか。
この先、どこへ進めるのか。

そこを迷わせないことではないでしょうか。
任せるのであれば、期待も伝える。
仕事を増やすのであれば、役割や評価も整える。
「あなたに任せたい」と伝えるだけでなく、
「なぜ任せたいのか」
「この先、どんな役割を担ってほしいのか」
「その頑張りを、どのように評価していくのか」

そこまでアテンドすることが必要なのかもしれません。

第5章 採用を増やす前に、離職の本音を知る

入口だけを広げても、人は定着しない

一人辞めた。
また求人を出す。
次の人が入った。
教える。
そして、その人も辞める。

この流れが続くと、
採用人数を増やしたり、求人媒体を変えたりすることに意識が向きます。

もちろん、採用活動を整えることも必要です。

ただ、店の中で同じ理由による離職が繰り返されているなら、
入口だけを広げても、人はまたこぼれてしまいます。

採用しても、採用しても、人が残らない。

それは、採用が下手だからとは限りません。

採用後の流れのどこかに、小さな詰まりがあるのかもしれません。

その詰まりを見つけないまま、求人を増やし、
また新しい人を採用しても、同じことが繰り返されるだけではないでしょうか。

「最近の人は長く続かない」
「辞めることを前提に、多めに採用しよう」
そう考えたくなることもあると思います。

けれど、それでは、社長も現場も疲れてしまいます。
見るべきなのは、辞めた人数ではありません。

なぜ、その人の想いが店から離れていったのか。
本当に思いを馳せるべきことは、ここではないですか。

本音は、退職するときだけに聞くものではない

退職の申し出を受けたとき、
「何か不満があったなら、言ってほしかった」
と思うことがあります。

社長としては、言ってもらえれば改善したかった。
話し合う余地もあった。
そう感じるのは自然です。

ただ、退職を決めたスタッフに本音を聞いても、
すべてを話してくれるとは限りません。

すでに次の職場が決まっている。
気持ちを切り替えている。
今さら話しても仕方がないと思っている。

退職時の面談だけで本音を知ろうとすると、
声になっていない想いがこぼれてしまいます。

本音は、日々の中で少しずつ汲み取っていくものです。
「最近、やりにくいことはない?」
「今の仕事で、楽しいところはどこ?」
「反対に、しんどいところはある?」
「次にやってみたい仕事はある?」
「今の働き方で、無理をしている部分はない?」
「店長や周りに言いづらいことはない?」

こうしたことを、普段から聞けていますか。

問題が起きたときだけではなく。
退職の話が出てからでもなく。

何も起きていないように見える日常の中で。
スタッフの声になっていない想いを汲み取る時間を、
普段からつくれていますか。

聞いた後の態度が、本音を育てる

質問をすること以上に大切なのが、
スタッフが答えた後の態度です。

スタッフが勇気を出して不満を話したときに、
「でも、それは仕方がない」
「ほかの人はできている」
「あなたにも原因があるんじゃない?」

と、すぐに説明や反論を始めれば、会話はそこで止まります。

すべての要望に応える必要はありません。
すぐに答えを出せないこともあります。

まずは、
「そう感じていたんだね」
「話してくれてありがとう」
「もう少し詳しく聞かせてもらってもいい?」
と受け止める。

その場で解決できなくても、
話を聴いてもらえたという安心が、次の本音につながることがあります。

本音は、無理に聞き出すものではありません。
安心の中で、少しずつ出てくるものなのだと思います。

第6章 本音を知った上で、採用と評価を整える

採用時に、店の想いと現実を伝える

離職の本音を知ることは、
今いるスタッフへの対応だけではなく、これからの採用にもつながります。

給与や勤務時間だけを伝えて採用すると、入社後に、
「思っていた店と違った」
というズレが生まれることがあります。

この店は、どんなことを大切にしているのか。
お客様に、どんな時間を提供したいのか。
スタッフには、どんな姿勢を求めているのか。
忙しい時期や、大変な仕事についても伝える。

その一方で、
どんな技術や経験が身につくのか。
どのように仕事を覚えていくのか。
将来、どんな役割を目指せるのか。

良い面だけを強く見せるのではなく、働く流れを丁寧にアテンドする。
採用するために迷わせるのではなく、入社後に迷わせないために伝える。

その方が、お互いに安心して始められるのではないでしょうか。

評価基準を、社長の頭の中だけに置かない

「頑張ってくれているのは分かっている」

社長はそう思っていても、
本人には伝わっていないことがあります。

何を頑張れば評価されるのか。
技術だけなのか。
接客も含まれるのか。
後輩への声掛けや、店全体への貢献も見てもらえるのか。
昇給や役割は、何を基準に決まるのか。

評価基準が見えなければ、スタッフは迷います。

社長から見れば、
「そこは見れば分かるだろう」
と思うこともあるかもしれません。

でも、スタッフは社長の頭の中を見ることができません。

仕事の技術。
お客様への対応。
チームへの関わり方。
後輩の育成。
時間や約束を守ること。
店が大切にしている姿勢。

何を評価しているのかを、少しずつ言葉にしてみる。

完璧な評価制度を、すぐにつくる必要はありません。

まずは、
「この店では、こういう働き方を大切にしている」
「今のあなたには、ここを期待している」
「ここができるようになったら、次はこの役割を任せたい」
と伝えるところからでもいいと思うのです。

評価は、人を順位づけるためだけのものではありません。
スタッフが、自分の進む方向に迷わないためのものでもあります。

おわりに 長く働きたくなる環境とは、どんな場所でしょうか

「キャリアアップしたいので辞めます」

その言葉が、本当か、嘘か。

白黒をつけることが目的ではありません。

その言葉の奥に、ほかの想いがなかったか。
言えないままになっていた、小さな違和感はなかったか。
社長や店長に伝える前に、諦めてしまったことはなかったか。
一度、そっと見直してみてもいいのではないでしょうか。

すべての退職を防ぐことはできません。

本人の人生があります。
結婚や転居、家庭の事情もある。
新しい夢が生まれることもあります。
独立したい人もいるでしょう。

ただ、本当は相談できていれば残れた人。
仕事の先を示していれば、もう少し挑戦できた人。
評価の基準を伝えていれば、自分の努力を信じられた人。
社長が想いを言葉にしていれば、店の未来を一緒に見られた人。

そういう人まで、静かにこぼれてしまうのは、もったいないと思うのです。

働いてくれるスタッフが、長く働きたくなる環境とは、どんなものでしょうか。

給与が高いことだけではない。
仕事が楽なことだけでもない。
自分を見てもらえている。
進む方向を迷わずにいられる。
困ったときに声を出せる。

自分の仕事が、お客様の笑顔につながっていると感じられる。
この店で働く先に、少し明るい未来を描ける。

そんな安心のある場所ではないでしょうか。

引き止めるためではなく、想いが離れてしまう前に。
採用を増やすためではなく、今いる人を丁寧に育てるために。
経営者の想いと、スタッフの想いを、途中でこぼさないために。

まずは、見る場所を少し変えてみる。
そこから、採用、仕事の教え方、評価の基準を、少しずつ整えてみてもいいと思うのです。