
ニュースでは、中東情勢の緊迫や原油価格の高騰が大きく取り上げられています。
ただ、社長にとって本当に気にしたいのは、海外の政治そのものではないはずです。
最近、どこの社長にお会いしても、開口一番「モノが高い」という話になります。
仕入価格、御社ではどうなっていますか?
運送費や外注費も、じわじわ増えていませんか?
電気代、燃料代、包装資材、部品代なども、
気づかないうちに重くなっていませんか?
原油価格や為替、海外情勢は、社長一人でどうにかできるものではありません。
でも、その影響が自社のお金にどう出ているかは、確認できます。
ここで一つ、聞かせてください。
最近、売上は変わらないのに、手元に残るお金が減っている感じはありませんか?
原材料費や物流費が上がったとき、多くの社長はまず「利益が減る」と考えます。
もちろん、それは間違いではありません。
ただ、私が先に確認したいのは、利益よりも資金繰りです。
なぜなら、利益の悪化よりも先に、月末の支払いが重くなることがあるからです。
たとえば、売上は前年と同じ。
でも、仕入価格は上がっている。
外注費も上がっている。
運送費も上がっている。
この状態だと、売上が落ちていなくても、会社に残るお金は減っていきます。
「売上は順調なのに、なぜかお金が残らない」
この不自然なズレを放置するのは、エンジンから異音がしているのに、
アクセルを踏み続けるようなものです。
実は、かなり怖い状態なんです。
しかも、仕入代金や外注費の支払いは先に来て、売上の入金は後になることもあります。
そうなると、決算書上は大きな赤字ではなくても、月末の支払いが苦しくなることがあります。
ここで見たいのは、売上だけではありません。
利益だけでもありません。
いつ、いくら出ていくのか。
いつ、いくら入ってくるのか。
このお金の流れです。
では、具体的に何を見ればいいのでしょうか。
まず、原価率。
売上に対して、仕入や外注費がどれくらいかかっていますか?
前年同月と比べて、原価率は上がっていませんか?
数か月前と比べて、粗利益は薄くなっていませんか?
売上だけを見ると、会社は順調に見えることがあります。
でも、原価率が上がっていると、実際に残るお金は減っています。
次に、月末の現預金残高。
今月末、口座にいくら残る予定でしょうか?
固定費や返済を払ったあと、どれくらい余裕がありますか?
その残高で、何か月分の固定費をまかなえますか?
ここを見ておかないと、「売上はあるのにお金がない」という状態になりやすくなります。
そして、借入返済後に残るお金です。
毎月の返済額はいくらでしょうか?
返済したあと、会社にいくら残っていますか?
その借入は、売上を増やすためのお金ですか?
それとも、資金繰りの時間を買うためのお金ですか?
どちらが悪いという話ではありません。
ただ、借入の意味を社長自身が把握しているかどうかで、次の判断は変わります。
もし資金繰りが厳しくなりそうなら、銀行への相談も早めが基本です。
ここでも、一つ聞かせてください。
銀行に相談するタイミングは、「困ってから」になっていませんか?
資金繰りが詰まりそうになってから相談すると、選べる方法が限られてしまいます。
一方で、早めに状況を共有しておけば、
追加融資、借換え、返済条件の見直しなどを検討しやすくなります。
銀行に話すときも、「なんとなく厳しいです」だけでは伝わりにくいものです。
どのコストが上がっているのか。
いつから影響が出ているのか。
今後、資金繰りにどれくらい影響しそうなのか。
このあたりを試算表や資金繰り表で説明できると、相談の質は変わります。
銀行だって、社長をいじめたいわけじゃないんです。
でも、首を縦に振るには、どうしても数字という「証拠」がいるんです。
だからこそ、苦しくなる前に数字を整理しておくことが大切です。
もう一つ、避けて通れないのが価格転嫁です。
仕入価格や外注費が上がっているのに、販売価格を据え置いたままにしていませんか?
もちろん、値上げ交渉は簡単ではありません。
取引先との関係もあります。
「言い出しにくい」と感じる社長も多いと思います。
でも、何も言わないまま我慢していると、その負担は最終的に自社の資金繰りに返ってきます。
ここでも、感覚ではなく数字が大事です。
原材料費が何%上がったのか。
運送費が月にいくら増えたのか。
このままだと粗利益がどれくらい減るのか。
数字で整理できれば、価格交渉の伝え方も変わります。
「値上げしたいんです」ではなく、
「これだけコストが上がっていて、このままだと継続が難しくなります」
と説明できるようになります。
ニュースは毎日変わります。
原油価格も、為替も、仕入価格も、社長一人ではコントロールできません。
だからこそ、コントロールできるものから見ていきましょう。
最後に、今月の財務メモとして一つだけ質問です。
今月末の支払いを、いくらまで正確に言えますか?
すぐに答えられないから悪い、という話ではありません。
ただ、その数字が見えていないと、資金繰りの変化に気づくのが遅れることがあります。
資金繰りは、社長を責めるための数字ではありません。
会社を守るために、早めに見る数字です。
月に一度で構いません。
原価率は上がっていないか。
月末にいくら残るのか。
返済後にお金は残っているのか。
価格は今のままで本当に大丈夫か。
少しだけ、立ち止まって確認してみてください。
数字を見るのは、正直しんどいときもあります。
でも、今ここで目をそらさないことが、半年後の自分を助けることになります。
社長のための月イチ財務メモでは、資金繰り・銀行融資・事業計画など、社長が月に一度確認しておきたいお金のポイントをお届けします。