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【金融機関から融資を受ける方法|融資の基本③】

【金融機関から融資を受ける方法|融資の基本③】

融資を受ける資金には「使い道」を明確にする必要があります。そして、何年で返済するのか。返済期間も重要です。

1、金融機関から融資を受けるさいに「資金使途」が必要なのはなぜか?

融資,資金調達
 融資を受ける際には、「資金の使い道」つまり「資金使途」を明確にする必要があります。資金の融資を受けようとする企業が、何の目的を持って融資を受けようとしているのかを明確にしなければ、金融機関は絶対に融資を実行してくれません。

金融機関が融資審査において資金使途を重要視するのには理由があります。融資を実行した資金が事業の維持・発展のために使われることなく、事業とは関係のないことに使われたら融資をした資金の返済の可能性が低くなるからです。
 例えば、外注費の支払い、原材料費の仕入の支払いが必要として運転資金として金融機関に2,000万円の融資を申込んだとしとします。金融機関の審査の結果、返済期間を7年間として融資を受けることができたとしましょう。
 しかし、融資を実行された社長がこの2,000万円を会社の運転資金として使うことなく、有価証券への投資につぎ込んでしまったらどうなるでしょうか?
 当然、取引先への支払いはできなくなります、さらに大きく損を出すようなことになれば手元には何も残っていないという事態も想定できます。運転資金として調達した資金を別の目的で使ったしまえば、資金使途で示された融資の目的を達成することはできません。支払をすることもできなければ、返済も当然不可能となってしまいます。

 融資で得た資金は自由に使えるものではありません。企業の維持・成長のための運転資金や設備資金として使われることがなければ、融資を受けた資金を最後まで返済することは難しくなるでしょう。したがって、金融機関は融資の申込の際には必ず「資金使途」を確認します。
 運転資金で使うのか、設備投資に使うのか。資金使途の具体的な内容は金融機関がもっとも気にするところであり、融資申込時には明確に説明する必要があります。口頭説明だけではなく、資料等を準備して説明することができれば、金融機関としても取組易い融資案件になると言えます。
 資金使途は以下の観点から審査されます。
①資金使途が明確であるか
②資金使途は事業を維持し、もしくは成長させるために妥当なものであるか
③資金使途と、必要な融資金額、返済期間、返済方法は整合性が取れているか

 そして、資金使途により、どのような返済計画になっているのを考える必要があります。例えば、仕入や外注費で300万円の支払いが必要になったとして、売上代金の入金は3か月後に500万円だとします。この場合、融資の申込は300万円、資金使途は運転資金、返済は3か月後に300万円を一括返済する計画です、という計画で申し込むことになるでしょう。

 資金使途が明確になれば、
「いくら必要か」
「返済原資はどこから出てくるか」
「いつ返済するのか」
「どのように返済するのか」
と言った一連の計画を作り上げることができます。

金融機関から融資を受けるにはこの「返済計画」の作成は絶対に必要であり、明確な根拠に基づいて説明することができれば、それだけ融資を受けることができる確率は上がると言えます。

2、金融機関から融資を受ける際の「返済期間」の考え方

金融機関から融資を受ける際、融資の審査で決められる条件の1つに「返済期間」があります。融資を申込む際に、希望の返済期間を伝えることは可能ですが、審査の結果により希望通りの返済期間になるば場合もあれば、ならない場合もあります。
 また、資金使途による適した返済期間があります。設備投資のように、長い年月をかけて使われる機械の導入資金となるような場合には、返済期間は長めに設定され5~10年位になることが一般的です。反対に、従業員への賞与を支払う為の原資となるような融資は、賞与支払いが年2回の企業であれば普通は半年が返済期間と設定されます。

2-1)短期融資と長期融資

金融機関では、返済期間が1年以内の融資を「短期融資」。1年を超える融資を「長期融資」と分けています。そして、短期融資か長期融資かで、金融機関が行う融資の方法は異なります。

 融資の方法は前述の通り(融資の基本②)、「手形貸付」「証書貸付」「手形割引」「当座貸越」があります。返済期間1年以内の短期融資では手形貸付の方法を取ることが基本です。長期融資の場合では証書貸付の方法を取ることが基本となります。
 短期融資で手形貸付の方法がとられるのは、手続きが簡単だからです。返済期間が短いために融資頻度が高く、融資を受ける企業が金融機関に対して借入用手形を差し入れるだけで実行されるので、短期融資に向いています。
 一方、長期融資は証書貸付というしっかりとした手続を踏んで行うのが通常です。金銭消費貸借契約書への、融資を受ける企業の署名捺印の他、連帯保証人の署名捺印が必要になったり、登記事項証明書や印鑑証明書の準備が必要になったりします。

 手形割引は企業が売上先から受け取った手形を金融機関に買い取ってもらうことで資金調達を実現することになります。金融機関が資金の回収までに要する期間は通常数か月なので、短期融資に区分されます。
 当座貸越については、決められた金額(極度額)の範囲でいつでも融資・返済を繰り返すことが可能な方法であることから、通常は数か月単位で利用されることが多いため、こちらも短期融資に区分されます。

2-2)短期融資は長期融資より審査が通りやすい

 返済期間の短い短期融資は、長期融資に比べて貸し倒れリスクが小さいため、長期融資よりも審査が通りやすいと言えます。
 また融資が実行されたあとも、その使い道を確認しやすいこと、返済の元手がどこにあるのかが分かり易いとも言えます。
 例えば、建設業などでよく行われる、外注費や材料費の支払いが先に行われ売上代金の回収が後になる間をつなぐ繋ぎ資金融資は短期融資で実行され、売上代金の回収を待って融資の返済に充てられます。
 アパレル業界であれば、仕入たり製造したりして在庫を蓄える季節と販売する季節とが明確に分かれるので、在庫を蓄える季節に融資が多く実行され、在庫が売れる季節に返済が行われます。
 賞与資金や、法人税等の納付のための納税資金融資も、次の賞与や納税が発生するまでの6か月間での返済が基本です。このように短気融資で出た資金がどのように使われるか、返済の元手が何であるのかが分かり易いのが短期融資の特徴です。

 一方で、長期融資は返済の元手が見えずらいものです。長期融資は企業が利益を上げて稼いだ現金で返済をしていきます。しかし、利益が上がるか否かは不確定であり、利益を上げ続けることができるかどうかは分かりません。現実的に多くの中小企業では返済を賄うだけの利益を上げることができず、既存融資を返済していく中で新たな融資を受けて返済を続けるといったこともあります。

2-3)返済期間はなるべく長く設定したい

 融資を受ける企業にとっては、返済期間は長ければ長いほど、返済がゆっくりとなり資金繰りが楽であるといえます。返済期間はできうる限り長期で設定するのが理想と言えます。「返済期間は短めに設定して、借りたものはできるだけ早く返済したい」というお気持ちも分かりますが、少でも長めで設定しましょう。
 仮に返済期間を短めに設定して融資を受けた場合、その後事業展開が計画通りに行かななったとすると、返済原資となる利益が思うように確保できません。返済が滞ったり、返済計画のリスケジュールを検討しなければならない事態になることもあります。
 最初から返済期間長めに設定することで、毎月の返済額を押さえることができます。利益が計画通りに上がれば、計画通りに返済を実行し予想よりも利益が多く上がれば、そのつど繰り上げ返済を実行していくことができます。

金融機関から融資を受ける際には、返済期間はできるだけ長めに設定してもらうことは、融資申込のセオリーと言えるでしょう。