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【金融機関から融資を受ける方法|融資の基本②】

【金融機関から融資を受ける方法|融資の基本②】

融資の種類

ひとくちに「融資」と言っても、さまざまな種類があります。代表的なものとしては、「商業手形割引」「手形貸付」「証書貸付」「当座貸越」があります。

種類特徴具体例
手形割引取引先から受け取った手形を銀行に買い取ってもらうことで資金調達する方法売掛先甲社が降り出した300万円の手形を金融機関で買い取ってもらうことで現金化
手形貸付借入用手形を銀行に差入ることで融資を受けとる方法。返済期間1年以内の短期融資で使われることが多い1200万円を賞与資金として融資。返済期間を6か月、元金均等と毎月200万円を6回で完済
証書貸付金銭消費貸借契約を銀行と結び、融資を受ける方法。返済期間が1年を超えるような長期融資になるのが通常3000万円を運転資金として融資。返済期間は5年元金均等で毎月50万円を60回で完済。
当座貸付極度額を設定し、その中で自由に融資を受けたり返済したりする融資。極度額を設定する際に当座貸越契約を銀行と結ぶ2000万円の融資極度額を設定。今月は仕入が多くなるから1000万円を借入申込書だけで借入。総額2000万円までは申込書だけでいつでも自由に融資・返済が可能

1,融資の方法

金融機関からの「融資」には4つの方法があります。
以下、1つ1つ見ていきます。

1)手形割引

「手形割引」とは、企業が売上を上げた際に、取引先が支払を現金ではなく「手形」を振り出した場合に、その手形を金融機関に買い取ってもらう方法で資金調達をする方法です。

買取った手形は、金融機関が支払期日に取り立てることで回収されます。
不渡りになった場合は、金融機関は回収することができず、手形割引を行った企業に資金の返還を求めてきます。つまり、支払期日に回収するまでは手形割引を行った企業融資をしているのと同じ状況といえるので、融資の1形態とされています。
とは言え、手形が不渡りにならない限り貸し倒れになるリスクが無いので、金融機関にとっては通常の融資よりもリスクの低い取組易い融資であると言えます。

この「手形割引」は、貸借対照表上は借入金として計上されないため借入金の金額が増えず、他の融資方法よりも財務内容が良くなるというメリットがあります。また、手形を買い取った金融機関が支払期日に取り立てることで返済となるため、企業は返済を行う必要がなくなるといったメリットもあります。

例えば
甲社は300万円の商品をB社にウリ、1ヶ月後、50万円を現金で、250万円をそこから3か月後決済の乙振出の手形を受け取った
  ↓  ↓
甲社は手形250万円を早く現金化したいので、取引金融機関の丙銀行で手形割引を行った
  ↓  ↓
支払期日に丙銀行は乙社に取立を行い、250万円を回収した。  

2)手形貸付

手形貸付とは、借入用の手形を金融機関に差入、融資を受ける方法です。借入用手形では、融資を受ける会社が振出人、融資を行った金融機関が受取人となり、手形の支払い期日は返済期日が書かれます。
当座預金口座がない、もしくは商取引で手形を利用していない企業でも、借入用手形という専用の手形を使用するため、手形貸付で融資を受けることが可能です。

建設業やIT業(システム開発)等で多く使われます。
建設業であれば、工事等が完了し、売上金が入金されるまでの間に発生する材料仕入や外注費等への支払いに充てるための運転資金として借り、売上金回収時に返済するという形で工事引当資金として借りるケースが多くあります。
IT業であれば、「工事」ではなく「システム開発」と置き換えるイメージです。

経常運転資金として「手形貸付」が利用される場合は、返済方法は6か月後や1年後の一括返済と決められていますが、経常運転資金は常に必要となる資金です。そこで、一括返済の期日に返済をするのと同にに同額を借換をする場合があります。このような融資は短期継続融資、もしくは短期の同額融資を転がしていく融資ということで「短ころ」と呼んでいます。

3)証書貸付

「証書貸付」とは、金融機関から融資を受けるにあたり「金銭消費貸借契約書」を金融機関と交わした上で実行される融資方法です。証書上に「融資金額」「金利」「返済期間」「返済方法」などを記載の上、融資を受ける企業が署名押印し、また連帯保証人がある場合は、同じく証明、押印がされます。

主に長期の返済期間を設定して融資を受ける際に使われる方法で、1年を超える返済期間が設定されます。

長期運転資金、設備資金として融資を受ける場合に利用されます。
機械・設備等はいったん導入すると長期間にわたり使用されます。設備を使って製品を生産したり、商品を販売したりすることにより、企業は利益を上げます。設備資金を1年以内の短期融資で調達した場合、設備投資の効果が上がってくるには1年以上かかることが多く、資金繰りが忙しくなってしまいます。そのために、1年以上の長期返済計画に基づいて融資を受けるのが通常です。

証書貸付のメリットは、返済期間を長期に設定することで、資金繰りが安定するという事です。
デメリットは、証書貸付ごとに金銭消費貸借契約書を作成する必要があり、そのつど多くの関係者の署名・押印等が必要となるため、手間暇がかかることがあります。

4)当座貸越

「当座貸越」とは、設定された限度額(極度額)までは、自由に資金を借りたり返済できたりする融資形態です。契約期間内であれば、借りっぱなしでも問題ありません。
必要な時に直ぐに資金を受け取ることが可能なため、企業にとっては非常に使い勝手の良い融資手段と言えます。一方で、融資もとである金融機関にとってはリスクの高い融資方法であるため、財務内容の良い企業にしか審査を通しません。

当座貸越の契約期間は1~2年と決められ、期限到来直前に当座貸越を更新するか否かの審査が行われます。
もし、審査が通らず当座貸越を更新できなかった場合は、その時点での借入金を一括で返済する必要があります。
ただ、まとまった金額である場合は、一括返済が現実的に困難である場合は返済計画が作成され、計画的に返済が行われます。

使い勝手の良い融資方法ですが、設備資金が必要な場合は安易に当座貸付から融資を受けるのではなく、別途証書貸付を受けるなどして、当座貸越の枠は有効に利用すべきです。急なプロジェクトが決まり、多額に仕入資金が必要になった場合、不足の事態に備える為、急ぎの資金調達が必要な場合も当然に考えられるからです。

使い勝手が良いので財務内容の良い企業であれば、全ての業種で利用されています。
特に繋ぎの運転資金の発生頻度が高い業種においては、利用効果が高いと言えます。
また、売上の季節変動の激しい企業でも良く利用されます。
キャッシュフローの良いとされる飲食業においても、夏場に弱い「鍋専門店」「フグ専門店」、冬場に弱い「南国料理専門店」など、閑散期のある業態においては、その間の資金不足を補う為に利用されることも多いようです。