相続の基本の基本について、何回に分けて書いていきます。
1、「相続」とは?何なのか?
誰か人が亡くなった時に、その方の持っていた財産を、ご親族等の方がもらい受ける制度のことを「相続」と言います。
お亡くなりになり、財産を残す方を「被相続人」。
残されて、財産をもらい受ける方を「相続人」と言います。
この「相続」は被相続人の死を契機に開始され、相続人が被相続人の死を知らなくとも、開始されます。
そして、この「相続の開始」により、それまで被相続人が有していた財産が相続人に承継されます。
この財産には、積極的な財産(プラスの財産)に限られず消極的な財産(マイナスの財産:借金等)も含まれます。
ただし、被相続人に専属した権利(その人だからこそ、持ちえた権利)は、承継されません。
例えば、譲渡禁止特約のあるゴルフ会員権、身元保証人の義務、国家資格、年金受給権等がこれにあたります。
2、だれが相続人になるのか?
「誰が遺産を相続するのか?」についてみていきます。
1)遺言等、被相続人の意思を伝えるものがない場合。
民法第886条〜第895条で、誰が相続人になるかの定めがあります。
この、民法で定められた相続人を「法定相続人」と言います。
①故人に配偶者がいる場合
配偶者は必ず相続人になります。配偶者以外の親族には優先順位が定められており優先順位の高
い人が相続人になります。
相続人になる優先順位のことを「相続順位」と言い、次のように定められています。
<相続順位>第1順位:子供、第2順位:親、第3順位:兄弟姉妹
故人に親や兄弟姉妹がいたとしても、子供がいる場合は子供が法定相続人になります。
なお、子供が既に亡くなっている場合は孫が代わりに相続人になります。
これを、「代襲相続」と言います。
子供の次に順位が高いのは親です。
故人に子供がおらず親がいる場合は親が法定相続人になります。
なお、親が既に亡くなっている場合は祖父母が代わりに相続人になります。
兄弟姉妹は、故人に子供や親がおらず兄弟姉妹がいる場合に初めて兄弟姉妹が法定相続人になり
ます。
なお、兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は甥や姪が代わりに相続人になります。
2)遺言書を作成していた場合は
遺言書で指定された方が遺産を受け取ります。
遺言書に次のように書かれていた場合、故人の奥様が自宅を相続し、お子様が現金1,000万円を相
続します。
<遺言書の内容>
・妻に自宅を相続させる。
・長男に現金1,000万円を相続させる。
なお、故人の配偶者・子供・親が相続人である場合、
配偶者・子供・親には遺産を最低限取得できる権利が保証されています。
最低限保証されている遺産取得分を「遺留分」と言います。
仮に配偶者がいるにも関わらず
「愛人に全額遺産を渡す」という遺言書を作成していたとすると・・・
遺言書にこのように書いてあった場合、常に相続人となることができるはずの配偶者は、
その権利を侵害されていることになります。
配偶者は、遺言によって自分の権利が侵害されているとして、愛人に対して自分の権利を主張する
ことが可能です。
この、侵害されている遺留分を請求することを「遺留分減殺請求」と言います。
つづく・・・