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飲食店の優秀なリーダーが苦しむ理由

― 社長が考えるべき「組織」の影響力 ―

席数の多いダイニングバー。

週末になると店内は満席。
厨房はフル回転。
ホールも走り回っています。

グラスの音。
オーダーの声。
キッチンから飛ぶ指示。

そんな現場をまとめているのが
店のリーダーです。

仕事はできる。
判断も早い。
スタッフからの信頼もある。

社長としても
こう思っているかもしれません。

「うちの店は、あのリーダーがいるから回っている」

でも、そのリーダーが
最近こう言い始めたとしたらどうでしょう。

「何度言っても、スタッフが動かないんです」

忙しい飲食店では
よくある話です。

だから社長は
こう考えます。

「最近のスタッフは主体性がない」

でも、ここで一つだけ質問です。

その問題、
本当にスタッフの問題でしょうか。

1.本当にスタッフの問題でしょうか。

人は「正しい話」では動かない

社長、少し想像してみてください。
「社長、あの店美味しいらしいですよ。
今度一緒に食べに行きません?」

この言葉、
誰から誘われたら「行きたい」と思いますか?
仲のいい友人でしょうか。
信頼している人でしょうか。
それとも、普段から美味しい店を知っている人でしょうか。
逆に、
あまり信頼していない人から言われたらどうでしょう。
同じ言葉でも、
心の動きは少し違うはずです。

実はこれ、昔から言われていることがあります。
古代ギリシャの哲学者が整理した
人を動かす三つの要素。
エトス(信頼)
ロゴス(論理)
パトス(感情)

多くのリーダーは
ロゴスは持っています。
段取りも説明できる。
合理的な判断もできる。
つまり
「正しいこと」は言えています。
それでも組織が動かないとき、
足りないのは論理ではありません。
信頼と感情です。

ただし、ここで
もう一つ大事な視点があります。
その信頼は
誰が作るのか。
という問題です。

リーダーは「信頼される立場」ですか?

社長として
一度考えてみてほしいことがあります。
あなたの飲食店で
リーダーの言葉は
店の言葉になっていますか。

例えば、こんな場面です。
リーダーがスタッフに言います。
「今日はこのオペレーションでいこう」
するとスタッフの心の中では
「それって、あなたのやり方ですよね?」
もしそう思われているなら
そのリーダーは孤立しています。

リーダーの言葉が
組織を動かすためには
「これは店の方針だ」
そう思われる必要があります。

その環境を作るのは
現場ではありません。
経営です。

ここで、少しだけ
昔の現場の話をさせてください。
私自身、飲食店の現場にいたころは
いわゆる「オペレーション型」のリーダーでした。
段取りは得意。
ピークの回し方も分かる。
忙しい店でも、なんとか回せる。

でも、ある日
アルバイトの子にこう言われたことがあります。
「丸山さんがいる日は安心ですけど、
 いない日はちょっと不安なんですよね」
そのときは
少し誇らしい気持ちにもなりました。

でも今思うと、
それは良い状態ではありませんでした。
店が
“人”で回ってしまっている状態だったからです。

リーダーがいないと
現場が不安になる。
それはつまり
組織としてはまだ弱いということです。

横浜の飲食店を見てきて、
同じ光景を何度も見てきました。

優秀なリーダーがいる店ほど
その人に仕事が集まる。
そして気づけば
その人が一番疲れているのです。

2.忙しい店ほど起きる問題

リーダーが孤立していませんか?

席数の多いダイニングバーでは
営業中はとにかく忙しい。

料理は次々出る。
ドリンクも止まらない。
接客も重なる。
すると現場は
効率優先になります。
指示だけが増える。
会話は減る。
余裕もなくなる。

気づけば
新人は遠慮する
ベテランは自己判断する
リーダーは疲弊する
そんな組織になっていきます。

そして最後に
こう言われるのです。
「最近の若いスタッフは、指示しても動かない」

でも、本当は違う。
組織が
リーダーを孤立させているだけ
かもしれません。

優秀なリーダーほど苦しむ理由

優秀なリーダーほど
責任感が強い。

だから
「自分がもっと頑張らないと」
と思ってしまう。

でも、本当は
その人一人で
組織を動かすことはできません。

組織の信頼は
現場ではなく
経営が作るものです。

例えば
リーダーの判断を社長が支持する
スタッフの前でリーダーを立てる
トラブル時に責任を引き受ける

こうした姿を
スタッフはよく見ています。
マニュアルよりも
制度よりも
社長の振る舞いを見ています。

3.社長に考えて欲しいこと

もしあなたの飲食店で
優秀なリーダーが
現場で苦しんでいるなら

その原因は
能力の問題ではないかもしれません。

社長として
一度考えてみてください。

あなたのお店で
リーダーは信頼される立場になっていますか
リーダーの言葉は店の言葉になっていますか
スタッフはリーダーに本音を言えますか

ここが整えば
リーダーのコミュニケーションは
自然に変わります。

そして結果として
組織の動き方も変わります。

優秀なリーダーが
孤独に戦わなくていい飲食店。
それを作れるのは
やはり社長です。